卵巣腫瘍 卵巣嚢腫

卵巣嚢腫の正しい分類を確認してみましょう!

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卵巣嚢腫の正しい分類を確認してみましょう!

このページで書くことは、インターネット上のどこを探しても、
多分、見つけられない情報だと思います。

 

管理人は卵巣嚢腫(のう腫)について、ネットでいろいろと調べましたが、
さまざまな用語や分類が出てきて、はじめは混乱の連続でした。

 

卵巣嚢腫って何?と調べたくても、サイトによって言葉の定義が違ったり、
略して使っていたりして、何を信じていいのか分かりませんでした。
本を探しても、専門用語ばかりの小難しいものばかりでした。

 

医学・医療に関わる情報が溢れているのに、正確な情報がない!
という、「うっぷん」があったのを覚えています。

 

卵巣嚢腫と一言でいっても、かなり細かく分類されていて、

  • 卵巣のどの部分にできるのか?
  • 良性・悪性・その中間のどの性質なのか?
  • 中身の物質がどんなものなのか?

によって細かく分かれています。

 

これらのことを分かりやすく説明した情報を見つけるのには、
なかなか骨が折れるので、
このページでは今まで管理人が学んできたことを元に、
卵巣の病気の中で卵巣嚢腫がどんな位置づけにあるのか
を整理してみたいと思います。

 

説明を始めるにあたって前置き的なことがあるのですが、
物事の一部分や細部に気を取られて全体を見失う意味のことわざに、
「木を見て森を見ず」というのがあります。

 

卵巣嚢腫の位置づけを正しく理解するために、
あえて全体像が分かるように、卵巣嚢腫とは直接関係ないことも含め
「森を見るような」説明になりますが、
他の情報に振り回されないように、ここでしっかりおさえておきましょう。

 

前置きが長くなりましたが、ここから本題です。

 

卵巣腫瘍と卵巣嚢腫はイコールではない!

 

まずは全体感の森を見てみましょう。下の図1を見てください。

 

一番外側の「体にできるしこりのような塊の総称」が森全体だとすると、
卵巣嚢腫という木は、黄色の部分になります。

 

細かくいろいろと書いていますが、卵巣嚢腫というのはしこりの病気の一部分
だということを、ここではぼんやり分かってもらえれば良いです。

 

【図1】
卵巣嚢腫の位置づけ

 

それでは、図の外側にあたる部分から中の方に向かって
順に説明していきます。

 

体や臓器の一部に塊が生じている状態を腫瘤(しゅりゅう)と言います。
しこりのようなものを想像してもらえばいいのですが、
これが一番大きな概念で、図1でいうと一番外側にあたります。

 

この腫瘤のことを大ざっぱに「腫瘍(しゅよう)」と呼ぶことが多いのですが、
厳密には、腫瘍でないものがあります。

 

細胞が自律性に(つまり勝手に)増殖して大きくなるものが「腫瘍」で、
もう一つが腫瘍のように見えるのですが、
炎症性や組織を切除した後の傷跡など組織が硬くなった状態の
類腫瘍(るいしゅよう)」と呼ばれるものがあります。
文字通り、腫瘍に類している(=似ている)という意味です。

 

類腫瘍に該当する病名をあげると、下の図2のようになります。
チョコレート嚢胞というのは、聞いたことがあるかもしれませんね。
(それぞれの病気は別のページで詳しく説明しています)

 

【図2】
類腫瘍(るいしゅよう)

 

さて、次に「腫瘍」をさらに掘り下げてみましょう。

 

最初に言っておくと、卵巣嚢腫は卵巣腫瘍の一種です。
卵巣腫瘍と同じもののように扱われることがありますが、
図1に示したように腫瘍と呼ばれるグループの一部分です。

 

卵巣腫瘍には、分類の仕方が3通りあります。

  • 腫瘍ができる卵巣の場所(組織)の違いによる分類
  • 悪性の有無や程度による分類
  • 腫瘍の中身の状態による分類

 

■腫瘍ができる卵巣の場所(組織)の違いによる分類
卵巣を構成している組織は大きく3つに分けることができます。

 

名称を覚える必要はありませんが、
卵巣の表面を覆っている「表層上皮(ひょうそうじょうひ)」と呼ばれる組織、
卵巣の核ともいえる「胚細胞(はいさいぼう)」と呼ばれる組織、
胚細胞を取り囲む「性索間質(せいさくかんしつ)」と呼ばれる組織です。
それぞれの組織にできる腫瘍の名称は後で表1で書きます。

 

■悪性の有無や程度による分類
よく耳にする「良性腫瘍」「悪性腫瘍」というものと、
境界悪性腫瘍(きょうかいあくせいしゅよう)」といって
良性腫瘍と悪性腫瘍の中間的な性格を持つ3つに分類できます。

 

さきほど説明した組織の違いによる3つの分類のそれぞれに、
「良性腫瘍」「悪性腫瘍」「境界悪性腫瘍」があるので
それだけで9つのグループに分けることができます。

 

■腫瘍の中身の状態による分類
いよいよ卵巣嚢腫(のう腫)が登場します。
卵巣腫瘍の中身の状態の違いによって、
嚢胞性腫瘍」「充実性腫瘍」の2つに分類されます。

 

「嚢胞性腫瘍」は、液体が固まった袋のような腫瘍で、
これを「卵巣嚢腫(のう腫)」と呼ぶのが医学上正しい分類です。
(良性の卵巣腫瘍=卵巣嚢腫だと理解している人がいますが、そうではありません)

 

胞性」の「瘍」なのでその頭文字をとって「嚢腫」ということですね。
ちなみに、卵巣腫瘍全体の約85%を占めていて、
基本的に良性の腫瘍です。

 

「充実性腫瘍」というのは肉の塊のような固形成分を含んでいる腫瘍で、
卵巣腫瘍全体の約15%を占めているようです。

 

「充実性腫瘍」の70%は悪性と言われているので、
卵巣腫瘍全体の約10%が悪性腫瘍ということになります。

 

これまで説明してきた腫瘍の分類を一表にまとめ、
さらにそれぞれに代表的な腫瘍名を入れてみたのが表1です。

 

卵巣嚢腫(のう腫)と呼ばれるものを赤字で示しました。

 

【表1】

 

表層上皮性・間質性腫瘍

性索間質性腫瘍

胚細胞腫瘍

良性腫瘍 漿液性腺腫 莢膜細胞腫

成熟嚢胞性奇形腫
(皮様嚢腫)

  粘液性腺腫 線維腫 卵巣甲状腺腫
  類内膜腺腫 セルトリ・間質細胞腫瘍  
  明細胞腺腫 ライディッヒ細胞腫  
  プレンナー腫瘍    
境界悪性腫瘍 漿液性境界悪性腫瘍 顆粒膜細胞腫

未熟奇形腫
(グレード1、2)

  粘液性境界悪性腫瘍 セルトリ・間質細胞腫瘍  
  類内膜境界悪性腫瘍 ギナンドロブラストーマ  
  明細胞境界悪性腫瘍    
  境界悪性プレンナー腫瘍    
悪性腫瘍 漿液性腺がん セルトリ・間質細胞腫瘍 ディスジャーミノーマ
  粘液性腺がん 線維肉腫 卵黄嚢腫瘍
  類内膜腺がん  

悪性転化を伴う
成熟嚢胞性奇形腫

  明細胞腺がん  

未熟奇形腫
(グレード3)

  がん肉腫    
  悪性プレンナー腫瘍    
  未分化がん    

 

 

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